市政報告

令和3年1月8日

令和3年第1回臨時会(本会議)

市第100号議案「直接請求に基づく『横浜市におけるカジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致についての住民投票に関する条例』の制定について」 の討論

横浜市が進めるカジノを含む統合型リゾート(IR)に関し、誘致の賛否を問う住民投票を実施するための条例案が1月8日の市会本会議で自民・無所属会派と公明党の反対多数で否決されました。

これに対し、小幡議員は、横浜市の林市長や市の幹部及び市会議員の多数が二元代表制を厳守していないと厳しく指摘するなどの理由で反対討論を行いました。

市第100号議案は原案賛成、請願3件は採択の立場から討論いたします。

市第100号議案は、議会制民主主義を尊重する立場から、直接請求に基づく条例制定については、本来、なじまないものと考えてきました。
しかし、その前提は、本市が市民に対し「二元代表制」の趣旨に基づく取組を厳守しているか、どうかに、かかっていると考えています。
 そもそも「二元代表制」とは、「地方自治体では、執行機関の長である首長と、議事機関の議会議員を、それぞれ住民が直接選挙で選び、首長、議会がそれぞれ住民に対して直接責任を負うという制度をとっています。これが二元代表制であります。
憲法第93条は「地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。
2 地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。
これを受けて、地方自治法には、普通地方公共団体に議会と長を置く旨の規定が置かれています。

  

そこで、林市長が進めようとしている「カジノを含むIRの誘致」について、前回の市長選挙では「白紙」とし、それ以降も、議会側の問いかけにも「白紙」を繰り返してきました。
ところが、一昨年の8月22日に議会に諮らないまま突然「カジノ誘致を表明」し、
それ以後、市政を混乱に陥れ、「嘘つき市長」と呼ばれるようになりました。

 市長は、常に行政と議会は二元代表制であると答弁していますが、
カジノ導入を進めるのは市長選挙での公約違反であり、もし市長が「カジノを含むIR」を推進したいと考えるならば、後程申し上げますが、
国の申請期間が今年の10月から来年の4月に変更されており、さらに、コロナの終息には2年以上要するとみられ、国がコロナ対策に本腰を入れるならば、さらに延期され、変更される可能性があると考えます。
従って、市長がカジノを誘致したいと考えるならば、今年の8月の市長選挙に
出馬する意向のようでありますが、今度は「カジノ推進」をコソコソではなく、堂々と公約に掲げ、市民の判断を仰ぐべきであります。

 また、一方の議会側は、前回の平成31年の市議選で「カジノ」誘致を掲げた
候補者は選挙管理委員会の発行した「選挙の歩み」を見る限り、誰一人いません
ので、市民の意向を問う選択肢を示していないと考えます。
 このように、「IR・カジノ」を見る限り、本市では、議会も首長も憲法93
条に掲げられている住民の意向を問うことを怠っており、従って「二元代表制」
は機能していないことが明確になったと考えます。
 そこで、今回は二元代表制を機能させるためにも、特例として「住民投票に関する条例制定」は憲法第93条の趣旨に沿った、妥当なものと考えるものであります。
これが、第一の理由であります。
 第二の理由は、
市長は、「IRは国家プロジェクト」と何度も強調していますが、新型コロナの感染拡大やカジノを含む統合型リゾート事件をめぐる汚職事件に、当時、IR担当の内閣副大臣だった 秋元司容疑者が絡んだ一連の事件は、現在拘留中でまだ全容は解明されていませんが、秋元司容疑者の逮捕により、国は「基本方針」を明確に示さないまま、昨年の9月に発足した菅政権はIR事業が、国の成長戦略の柱と位置付け、政権発足の翌月の10月に、国や地方公共団体の職員とIR事業者との接触ルール策定や感染症対策などを盛り込んだ新たな基本方針案を公表しました。
また、今年の1月から7月としていた自治体からの申請期間を、10月から来年の4月変更する方針を示しました。
これを受けて、昨年11月に、市は実施方針や募集要項を協議する「横浜イノベーションIR協議会」と、事業者選定を諮問する有識者委員会を相次いで設置しましたが、これは事実上「事業者公募に影響する」などの理由から非公開にしましたが、非公開にする必要はないはずです。
また、市は、昨年の12月11日、2度の延期を経て、事業者選定基準をまとめた実施方針案を明らかにし、「世界最高水準のIRを実現し世界から選ばれるデスティネーション(目的地)」を目指すとしています。
 しかし、世界最高水準のIRとは如何なるものなのでしょうか。これは、カジノの害をカムフラージュするもので、意味不明です。
さらに、21日には協議会の第2回会合を市庁舎内で開催し、誘致に向けた作業を非公開の中でコソコソと進めてしまいました。

 実施方針案にはいろいろ書かれていますが、正確な実施方針案はコロナが終息した後の正確なデータをもとに、新たな実施方針案を提出すべきです。
当初、昨年6月に公表予定でしたが、新型コロナの影響や国会議員の汚職で国の基本方針が10月まで示されず、延期されていました。

 実施方針案にはいろいろ書かれていますが、正確な実施方針案は、コロナが終息した後の、正確なデータを基に、新たな実施方針案を提出すべきです。
 それは、実施方針案に盛り込まれた計画の基礎データは、数年前のコロナの影響はなかった時代のデータが使われており、正確な実施方針案はコロナが終息した後のデータをもとに、新たな実施方針案を提出すべきであります。
また、コロナ後の世界と国と本市の対応について、様々な情報が展開されていますが、ヨーロッパやアメリカ、アフリカ諸国を視ても、まず、コロナの終息や克服が最優先政策であり、現状では今後の方向が不透明な状況での実施方針案は、信頼性に大きな問題があると考えます。

 現在、日本や本市が進めている、行き過ぎたグローバリズムに基づく観光都市政策や、さらに、菅政権がIRを国の成長戦略とする政策はコロナが拡大している現状では抜本的な見直しが必要です。「まず、立ち止まって、日本の危機について現状を正しく分析し、弱点を認識したうえで、未来への見取り図を描き、そこに向けて的確な手を打った者が、大きな果実を得る」との、警鐘に耳を傾けるべきであります。

 以上の観点から、市長は、新型コロナの終息が確認できるまで様々なコロナ
対策に政策と財源を振り向け、「カジノを含むIR」の検討を中止すべきであり
ます。

第三の理由は、これまでも指摘した通り、IR政策については、林市長が、就任直後に自分で決めた、規程である「横浜市経営会議」に諮らずに独断で決めた方針です。
この規程には、「市政運営の重要な方針を決定し、重要な施策、事業等の政策判断を迅速に行うとともに、横浜市の将来を見据えた議論を行うため設置する。」としています。
そこで、新型コロナ対策を十分に行うために「経営会議」で十分議論し、
「IRカジノ」は棚上げすべきです。

第四の理由は、
 今回提出された議案の、市長意見の概要を見る限り、
その(4)で「IRについては、これまで様々な観点から議会において議論が
積み重なれており、‥‥IRの全体像は事業者とともに作成する区域整備計画おいて具体化していくので、市民の皆様に丁寧に説明を行うとともに、議会における議論を基本として、法定の手続きを着実に進めていくことが重要と考えている。」としています。
しかし、本市が検討した内容や、有識者の意見を聞く限り、財政・収支見通しの根拠が曖昧・不明であり、単なる数字合わせではないかと考えます。
また、「依存症対策」も具体的には何も示されていません。
 特に、何よりも、国の整備計画が明確になっていないと考えます。
 林市長がカジノの導入を決めた主な理由は、人口減少、老年人口の増加や消費や税収の減少、社会保障費の増加など、経済活力の低下や厳しい財政状況になるので、統合型リゾート(IR)を誘致し観光の振興で、財政改善を行う。
また、ギャンブル等の依存症や治安悪化などへの対策をしっかり行うとしています。

 これに対し、「横浜港運協会」、「横浜ハーバーリゾート協会」はギャンブル依存症を生まないカジノ抜きの「ハーバーリゾート計画」が必要であると確信して、本格的な取組を行ってきました。(※国際会議場や展示施設を運営するMAIC・宿泊・エンターテイメント施設などのノウハウを持つシンクタンクと研究を進め、カジノが無くても多大な経済効果を生みだし、事業採算性が十分あるとの結論を出し「横浜港ハーバーリゾート協会」を設立し、本格的な取組を行っています。)(※本来、「山下ふ頭再開発ハーバーリゾートの形成」に関しては、10年以前から横浜市と港運協会が共同で取り組んできた横浜市再生のための一大事業のはずです。私たち議員はこの重要な計画に興味を持っていましたので、何度も現地視察を行ってきました。)

また、同協会の水上宏之専務理事は、昨日の意見陳述の中で、「コロナ後の世界は大きく変化しているため、一昨年、提出した事業計画書を大胆に再検討している」。「カジノが無くても、事業採算性はあり横浜市の貢献できる」と堂々と陳述しました。

第五の理由は、カジノ導入に反対する人々の最大の理由は深刻なギャンブル依存症です。
日本ほどギャンブルが野放しの国はどこを見渡してもないと多数の精神科医師は警告を発し、依存症関係の書籍も多数出版され、警鐘を鳴らしています。
市長はじめ経営会議のメンバーはこの警鐘が聞こえないのでしょうか
ご存じの通り、日本は世界屈指のギャンブル大国だと言われています。
市内には既に各種公営ギャンブルの場外投票券売り場がそろっており、パチンコ・パチスロ店も街中にあふれている。
日本はギャンブル依存症患者が世界で一番多い国と指摘されています。国内にはパチンコ・パチスロ店が役1万軒あり、20兆産業になっている。公営具ギャンブルを合わせると30兆円産業という状況の中で、多くの依存症患者が生み出されており、パチンコ産業は飽和状態になっており、これ以上増えないと指摘されています。
一方、カジノという新たな施設ができれば依存症は新たに増えることは確実で、市長も依存症対策に取り組むと答弁しています。
カジノとパチンコ・パチスロや公営ギャンブルとの大きな違いは、カジノが中・高所得層や、IR施設を訪れる家族連れをターゲットにしていること。市の見込みでは、施設全体で2千万人から4千万人の来場者を見込んでいます。
海外ではカジノ客の5%が依存症といわれるそうですが、少なく見積もっても、2千万人の4人に一人がカジノを訪れ、うち1%が新たに依存症になっても5万人、4千万人の来場者の場合は10万人になります。
依存症専門の医師は、カジノから近い自治体ほど依存症が増えるので、横浜市民の比率は高くなる。・・・と警告を発しています。横浜市民を新たな依存症患者にしたいのでしょうか。
 市長はカジノ設置後、依存症が減った外国の例を引き合いに出し、懸念の払拭を図っているようですが、市が持ち出すのはシンガポールという全体主義的な国の特異な事例です。国民に対し国が強権を発動でき、依存症になりそうな人は徹底して施設から引き離しているそうです。
韓国では、2006年にパチンコ産業を禁止し、カジノを導入しましたが、
カジノの周辺で失業者や自殺者が急増している、と、報道されています。
日本ではそれができません。前回も指摘しましたが、パチンコ・スロット店は換金できないことになっていますが、実際には店の近くに換金小屋を造り、そこで、堂々と換金させています。山奥ではなく、駅周辺の警察署や交番の近くのパチンコ屋が堂々と営業をしています。パチンコ・スロット業界は与野党を通じた国会議員が遊戯連盟に加入しており、警察の天下り先になっていると指摘されているのです。

市長は、カジノが新設されても依存症対策をしっかりやれば依存症患者は増えないと答弁されています。
一方、カジノ産業は米国はじめ国際資本が、カジノを使って豊かな国から資金を巻き上げ、やがてはその土地の経営権等を強奪する産業だと考えています。
横浜港の栄光ある聖地を外国資本に売り渡してはなりません。それを防ぐのは、横浜市会議員の責務であります。
カジノを導入しなくても横浜の再生を図る方策を見出す調査をする時間は、まだ十分あります。私たちはその責務を放棄してはなりません。
横浜市会が良識ある議員の集まりであることを市民に説明しようではありませんか。
 
最後に、内閣官房参与の髙橋洋一氏は、マスコミと官僚の「無知」と「悪意」という著書の中で

「知らない なら バカ 、知らないふり なら なおさら悪い!
 日本の経済発展を阻む“病根”を データと理論で解き明かしています。

二元代表制の根幹に触れる直言であり、我々に通るものと考えます。

以上、原案賛成、委員会採決反対の討論と致します。   了